木こりワークショップでの濃い時間

 こんにちは!


2024年4月に熊本県和水町で築156年の古民家を購入し、自分たちでフルリノベしています。


今回は家の改装の記事を一度休んで、代わりに今回参加した木こりワークショップについて所感を書いてみようと思います。


どうして木こりワークショップ?

同じ和水町に移住した友人夫婦が山林を開拓しながらTao Nestというタオタッチセラピストスクールの場を作っており、現在積極的にその場所に育っているスギ・ヒノキをはじめとするなかなかなサイズの木々を伐倒しているところです。

伐倒には様々な危険が伴うので、経験を持つプロに来てもらって、実践に即した形式でチェーンソーの安全な取扱いや、伐倒のコツなどを教えてもらうワークショップを開くけど興味があるか聞かれました。

うちにも裏山があり、ゆくゆくは手入れをしていきたいのと、私の現職にも多少の関連性があるので参加することに決めました。

私自身、昨年に仕事上でチェーンソーによる伐木等特別教育は修了したものの、それ以来チェーンソーに触れてもおらず、実際に木を伐ったこともなかったので、講習で学んだ内容もうろ覚えになっていました。

受ける前は今回のワークショップで実際に木を伐れればいい体験になるかも程度に思っていたのでした。


ワークショップの内容

2025年2/21~2/24の4日間に渡って行われました。

初日は午後のみ、最終日は午前のみ、中2日は一日中という充実のスケジュールです。

講師として来てくださったのは、南阿蘇で阿蘇水守林業として10年以上の経験を持つ足立豪範先生(通称タケちゃん)。

初日はそれぞれ簡単に自己紹介のあと、まずはチェーンソーの基本的なメンテの方法と、目立てを指導してもらいました。

目立ての練習

【目立ての練習】


友人のチェーンソーは連日使用していて、最近急に切れなくなったというのでチェックしてもらう。

【切れないチェーンソーの刃】



刃を見た瞬間に、刃が茶色く汚れが付いている場合は刃がしっかり砥げていないサインだそう。

【拡大写真】



 

よく目を凝らして観察してみると、確かに刃の先端が細かく傷付いているのが分かる。

話を聞くと、使っているときに何度となく土を切ったりしてしまっていたそうで、タケちゃん曰く、一度一瞬だけでも土に接触するだけで切れ味が格段に落ちてしまうほどシビアなものだそう。

チェーンを回しながら刃を一つ一つ丁寧に確認し、それぞれを丸棒やすりで砥いでいく。

チェーンの大きさによって丸棒やすりのサイズも決まっているので、適正なやすりで砥いでいきます。

刃の数も多く、一つ一つ念入りにチェックしながらそれなりの力で砥いでいくので、時間も掛かるし手も結構だるくなります。

【チェーンソーの目立て】


自分で時間を掛けて目立てをして切れ味の違いを実感すれば、チェーンソーを使うときにと目立ての頻度を極力減らせるようにおのず木の切り方が丁寧で慎重になります。


伐倒

いよいよ現場に移動して、受け口と追い口を使った伐倒の基本を学びます。

まずは木をよく観察して、木の重心がどこにあって、どの方向に倒れやすいかを推測し、周りの状況を見ながら素直に倒せる方向を判断します。

受け口を作るときにはまず木の幹に水平に刃を入れ、受け口の幅が木の直径の約8割程度になるまで切り込みを入れます。

その状態でチェーンソーの背側からチェーンソーにあるマーキングラインを確認して伐倒方向を確かめます。伐倒方向と受け口の向きがずれている場合は、この時に修正します。

【伐倒方向の確認】




伐倒方向が定まったら、斜め45°~60°くらいの角度で上から切り込みを入れ、先ほど作った水平の切り込みの先端にぴったりになるように三角の木を切り出します。

【受け口】


続いて受け口の反対側から追い口を切っていきます。

追い口の水平ラインから少し高い位置に水平に刃を入れ、幹の太さの1割ほど「つる」を残して止めます。

その時点で木は「つる」を支点に倒れ始めることが多いですが、倒れない場合や、木の重心などを考慮して追い口からくさびを入れて倒すこともあります。

木が倒れ始めたら、慌てずに急いで安全な場所まで木から離れます。

【追い口から伐倒まで】



切株を見ることで、伐倒の技術のいろいろな側面が判断できます。

【切株の観察】

  • 受け口は伐倒方向を向いているか
  • 受け口、追い口は水平に切れているか(前後・左右)
  • 「つる」の幅は適正で、左右平行か(意図的に左右のつるの幅を変えて伐倒方向を調整することもある)
  • 幹が裂けたり割れたりしているところはあるか


枝払いと玉切り

倒れた木は、曲がりや用途に合わせて短く切ることを玉切りと言います。

根元の広がっているところは切り落とし、そこからロガーテープと呼ばれる林業用巻き尺を使って410cmまたは310cmごとにチェーンソーで浅く印を入れながら、途中枝を切りながら先端まで進み、巻き尺を回収して玉切りをしていきます。

【ロガーテープを使った造材】


【枝払いと玉切り】

枝払いは基本幹の先端に向かって左側に立ち、ガイドバーでチェーンソーの重さを幹に預けながら切り進みます。

地面に接触している枝を払うときには枝にテンションが掛かっているので刃が挟まれないように枝の両側から落とします。

また、枝がなくなった丸太が転がってこないか、地形などを常に確認しながら丸太に轢かれない側に立って作業を行います。

その他の特殊なケース

素直に倒せる木はそれぞれ伐倒の練習で倒して造材を積み重ね、感覚を磨いていきました。

特殊なケースとして以下のようなことも練習しました。

【重心が伐倒方向と大きくずれている木の伐倒】

【ワイヤーロープとチルホールを使った伐倒】



【間伐を意識した掛かり木とその対処法】

【小型ユンボを使った集材】


所感

気の置けない参加メンバーと、穏やかな天候にも恵まれ、4日間に渡ってこれほど充実した内容のワークショップに参加できて、たくさんの学びと気付きがありました。

なかなか一人で木を何本も伐らせてもらえるワークショップも珍しいと思います。

自分が伐るだけでなく、他の参加者が伐る様子を見ることで、自分が伐っているときには気が付かないようなコツや危険なども観察する機会が多く、非常に充実した4日間でした。

チェーンソーという、一歩間違えば足が軽く吹き飛ぶほどの危険と隣り合わせのモンスターを扱うようになるには、基本的な技術と危険を事前に予測する目を養うことが大切で、そこには多くの練習と失敗が絶対的に必要になってきます。

安心して失敗ができるこのようなワークショップ形式で練習を積めるのはかなり理想的な始め方だと思いました。

また、講師のタケちゃんこと足立豪範先生に出会えたことも大きな収穫でした。

最終日のワークショップ後にはうちの裏山に一緒に入ってみてもらい、どのように理想的な森を作っていくか、少し相談させていただきました。



次回は家に戻って、キッチンの解体作業を数回に渡って紹介していきます。


ではまた!


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