寝室の漆喰塗り2


前回の記事では寝室の漆喰塗りを下の方から順調に進めてきて、とうとう一番天井に近い上段部分を残すのみとなりました。

この上段部分の漆喰塗りはちょっと厄介で、どうしようか色々と考えたり友人たちに聞いたりしてベストな対策を考えているところでした。

今回はここをどのように攻略していったのか、紹介したいと思います。

上段の土壁の現状

新設した天井に一番近い上段部分の土壁は、もともとあった天井に隠れる場所だったせいか、表面が荒壁状態で終えられていて、表面が結構荒くボコボコの状態でした。


柱との間に隙間があるところもあり、隙間風の出入り口となっています。


北側の壁の上段部分は、一部ひどい凹み等を崩した土壁材に水とわらを加えて練ったものを塗り付け、気持ち程度表面を均してから漆喰を塗ってみました。


床に立って遠巻きにチラッと見れば特に気になるほどの状態ではないのですが、梯子に登って間近でジロジロと見ると、下地の表面が整っている場所に塗ったところよりも圧倒的にボコボコしていて荒さが際立ってしまいます。

あと、下地がすでに綺麗な壁面に漆喰を塗る時に比べて非常に塗りにくく、どうしてもクオリティを高めるのに限界があるので気持ちよく塗ることが出来ません。

漆喰塗りの完成度を高めるためには、下地作りが極めて大事だということが改めて実感できました。

このまま塗り進んでも作業は終えられるのですが、残る4面の荒壁をもやもやとした気持ちで塗って中途半端な壁で終えたくないという気持ちが強くなってきたので、どうにかすることにしました。

調査と聞き込み

土壁の表面をスムーズにして、綺麗に漆喰を仕上げる方法を調べていると、必然的に土壁の作り方そのものに行きつきました。

そもそも土壁ってどうやって作るのか?

今では色々な人が一から土壁作りにトライして、Youtubeに上げたりブログに書いたりしているので情報は簡単に手に入ります。

簡単に説明すると、

  1. まず竹木舞と呼ばれる竹を麻紐で編んだ格子状の構造を柱と梁に囲まれた空間の中に作り上げます。
  2. そこに土と藁を混ぜた荒壁土を塗り、乾燥させます。
  3. そして荒壁土より目の細かい土と砂、藁スサを混ぜた中塗り土(中土)を上塗りし、乾燥させます。
  4. 中土が乾いたらその上から漆喰等で仕上げをして完成です。

このステップを見てみると、どうやら「中土」というものを荒壁の上から塗るというステップが重要になってくる様子です。

そこで中土について調べてみました。

どうやら土:砂:藁スサを1:1:1の割合で混ぜるそうです。

その土についても、粘度の高い粘土が使われるそうです。

砂はさて置き、「藁スサ」とは何ぞや??となりました。

どうやらあく抜きをした藁を細かくしたものを藁スサと呼ぶそうです。

中土に使われる藁スサはとくに細かめ(1cm以下)に切ったり割いたりしたものが使われるそうです。


手持ちにある藁は、もともと寝室にあった古い本畳を分解して出てきたものを適当に刻んで使ってきたのですが、ここまで細かく刻み込むのはそれだけでかなりの手間が予想されます。

藁スサや中土を壁材としてネット販売しているサイトもあるのですが、値段も結構高く、言ってもどこにでも大量にある土と砂と藁を高い運送料を払って遠くから運ぶいうことをしたくありませんでした。

作業を進めなければ次に進めないが、できれば手持ちの材料、特に納屋に大量にある壊した土壁の土を使ってどうにかしたい。


そんな堂々巡りの中、熊本にあるSri Ashramに作業の手伝いをしに行きました。

ここではアースバッグ工法というやり方ですでに建物を2つ建てており、壁を仕上げるのにあらゆる左官の方法を試してきていて、そこに深く関わってきた友人がこの場所に現在住んでいて一緒に作業を行っているので、早速状況を説明してどういう方法があるのか聞いてみました。

Sri Ashramに建てた建物の表面には漆喰が塗られており、その下に下地として使った「中土」の配合を教えてもらいました。

Sri Ashram流中土レシピ

  • 土3
  • 砂1
  • 消石灰0.8
  • 塩化マグネシウム少々を水に溶いたもの

消石灰と塩化マグネシウムが化学的に反応して硬化してくれるそうです。

Sri Ashramに以前に使った塩化マグネシウムが残っているというので、ありがたいことに少し分けてもらえることになりました。

あとで調べたり聞いたりしたところ、このレシピは「たたき」と呼ばれる、コンクリートで固めない土間などを作る時に作る土のレシピをもとに作られたっぽいです。

たたきではにがりが使われるところを、現代でもうすこし安価に購入できる化学的代替品としての塩化マグネシウムで代用しているレシピになります。

消石灰はホームセンターの園芸コーナーなどで安価で大量に手に入るので、このやり方で試してみようと思います。


中土作り

早速教えてもらったレシピで中土を作っていきます。

土は家の他の箇所の土壁を壊した時に出た土を納屋にとってあるものを使います。

そのままだと小石や藁や固まったままの土が混ざっているので、固まった土はある程度手でほぐし、ふるいに掛けてサラサラの土を作ります。

砂は、過去に五右衛門風呂を壊した時に出た砂をふるいに掛けたものを袋に集めていたので、これを使います。

この砂は五右衛門風呂のかまどの下の土と一緒に出てきたもので、灰や煤が混ざっているせいか、若干黒い色をしています。

土と砂を入れた泥舟にだいたいレシピ通りの配分の消石灰を入れ、水にマグネシウムを溶いたものでちょうど良い硬さになるまで加水してよく混ぜます。



砂が若干黒いため、混ぜた感じは結構黒く見えますが、出来上がった土の感触は良さそうです。



早速問題の壁に塗ってみました。


もう少し近づいて見てみます。


近くで見ても表面の凹凸がきれいに均され、とてもいい感じに見えます。

一晩乾かしてみたところがこちら。


表面に若干のひび割れが見て取れますが、この程度のひび割れなら漆喰で十分に隠せます。

乾いた状態でも砂の色のせいか、黒っぽい色をしているので、そのまま漆喰を塗ってしまうとアクが浮いてしまうかもしれません。

なので、アクドメールを倍量の水で溶いて塗り、一時間ほど置いて生乾きしてから二度塗りし、一晩乾燥させました。



表面に保護層ができてツヤが見られます。

これなら漆喰を塗っても大丈夫そうなので、最後に漆喰を塗っていきました。

ボコボコの荒壁に直接塗るのに比べて格段に塗りやすく、完成度も上がりました。


これで寝室の漆喰塗りが完了です!




寝室の漆喰塗りの全工程でほぼ2週間掛かりましたが、頑張った甲斐あって部屋全体の雰囲気が全然見違えます。

やっていくうちに自分の漆喰塗りレベルも少しだけ確実に上がった実感もあり、左官の世界がちょっとだけ見えた気がしました。


今回は以上です。

ではまた~!


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