寝室の漆喰塗り

 以前の記事では、寝室の内装工事がおおむね完了して天井や内壁が完成し、あとは仕上げの漆喰塗りを残すのみというところまできていました。

寝室の隣のトイレ前廊下の内装工事も終わらせてから一気に漆喰を塗ろうという算段だったので、先にそちらの内装工事を済ませたことはこちらの記事で紹介しました。

これらの箇所の内装工事が完了したので、今回はいよいよ漆喰塗りを始めて行こうかと思います。

漆喰塗り作業について

漆喰を扱うのはこの家の改装作業が始まってから3回目になります。

以前の漆喰パーティの記事でも紹介しましたが、漆喰塗り作業に限らず左官作業は木工・大工作業と必要な道具やスキルやマインドセットが全然違っていて、これはこれで面白い作業だと思います。

例えば漆喰塗りを考えてみると、一般的に漆喰を塗られたいわゆる「白壁」は、表面が平滑でつるつるした印象を持つ人がほとんどだと思いますが、初めて実際に自分でやってみると、実はとても難しく根気のいる作業だということが分かってきます。

自分の場合はこんな感じでした。

最初の1分ぐらい「これ意外と結構簡単に平らになってくれるやん。才能あるかも?」

10分後「あれ?乾いてきたらやり直し効かんやん!ここボコボコのまま固まってしもたし。。。塗る時のコテの力加減と角度が絶妙すぎてキープ無理やろこれ。てか腕だるー。服めちゃ汚れてきた。。これをこの壁全部やるの果てしない。。天井とか無理くね?」

30分後「腕だるいけどだるいの通り越してきた。やっと1畳くらいきたけど、このクオリティの低さはヤバいぞ。どうやってごまかそうかな。。ちょっと一旦やめて調べたり聞いたりしてみよかな。」

って感じで、漆喰塗り作業自体にすでに若干の苦手意識すら出始めていました。

そして浴槽の搬入の時に友人が手伝いに来てくれた時に、余った時間で漆喰塗りのコツを少し教えてもらいました。

町内に住む友人が漆喰塗りのコツを伝授してくれた

その時に分かったことは、漆喰作業のときに霧吹きと綺麗な刷毛を用意しておき、壁に塗って少し乾きだした漆喰に水分を加えると再び柔らかくなって、その上からコテで均すと表面がきれいに整うというテクニックでした。

このテクニックを学んだので早速試したくなり、一旦止めていた漆喰塗りかけの壁に再トライしてみました。

すると、新たに塗るところはこのテクニックのお陰でずいぶんきれいに塗れるようになったのですが、前回塗ったところと今回塗ったところの境目がどうしても綺麗に平らになりません。

すでに塗られて固まっている漆喰が新たに塗る漆喰の水分をどんどん吸収してすぐに乾き気味になってしまいます。

かといって新たな漆喰をすでに固まっている漆喰にかぶせて塗ると、かぶさったところだけ漆喰が厚くなって継ぎ目が目立ってしまいます。

これによって分かったことは、一度漆喰を塗り始めたら可能な限り一度に全面を塗りきるということでした。

あとで分かったことですが、時間の都合などでどうしても継ぎ目ができてしまう場合は、まずは後々継ぎ目となる「前線」部分はできるだけ薄く漆喰を延ばして、漆喰がまだ塗られていないところとの漆喰の段差を可能な限り減らしておきます。

そして次に塗り始めるときに、この前線部分に塗る漆喰には事前に水分を多めに含ませてトロトロにしておき、薄く延ばしておいたすでに乾いている漆喰の上に薄いトロトロ漆喰層を薄く塗りかぶせることで継ぎ目が目立ちにくく仕上げられます。

その後友達を呼んで漆喰パーティを行い、その時に必要だった左官道具をSri Ashramから色々と借りていました。

漆喰パーティ

借りてきた仕上げコテを色々と試しているうちに、他のコテよりも明らかに使いやすく仕上げがきれいになるコテがあることが判明しました。

それがこちらのコテでした。


コテ面がステンレス製で0.3ミリ厚と非常に薄いので、塗り付けるときの多少の角度や力の入れ具合の誤差をしなりで吸収してくれて、気持ちよくつるつるに塗れることが分かり、俄然漆喰塗りが楽しくなってきました。

早速ホームセンターで同様のコテと、ついでに漆喰塗り専用として幅広の綺麗な刷毛も手に入れました。

そして漆喰パーティで来てくれた友達たちと二日間みっちりワイワイ楽しく漆喰塗りをやって、そこそこ綺麗に仕上げるコツみたいなものを自分なりに掴んだ気がします。

漆喰塗りが面白いのは、ある程度のコツと経験を積んでそれなりのクオリティの壁面を作れるようになると、作業中は漆喰塗りという作業自体はについてほとんど考える必要がなくなってきます。

歩くときに右足を出して、出した右足をどこに置いて、次にどのタイミングで左足を上げて、同時に手をどのように振ろうかと考えることがないのと似ています。

この境地に達すると、作業自体は体と手がどんどんやってくれるのですが、逆に脳ではあまり何も考えない、ある意味瞑想に近い状態でひたすら目の前の壁をスリスリと平らにしていきます。

しばらくは心を無にしてひたすらスリスリする平穏な時間が過ぎるのですが、流石に何日もやっていたら飽きてくるので、空いている耳を使って音楽やポッドキャストを聞き始めました。

特にポッドキャストはこの家の改装に手掛けてから始めた習慣的行動のうち、かなりハマった一つでもあります。

そのうち今まで聞いてきたポッドキャスト番組の紹介も記事にしてみたいと思います。


寝室の漆喰塗り作業

話が本題に戻ります。

寝室は天井張りが完了し、内壁作りやドア取付などの内装工事も終了し、いよいよ漆喰塗りを残すのみという段階まで来ています。

一部土壁には漆喰を塗り始める前に少し土壁を補修する必要のある箇所もありますので、そちらの状態や行った手順も合わせて紹介していきます。


まずは北側の床の間の上の土壁から。


この土壁は、もともとの天井ラインより上は土壁の厚さが半分ほどで、煤けて真っ黒になっている様子が見えます。

このまま漆喰を塗ると凹んでいるのと煤によるアクで漆喰が黄ばんでしまいます。

なので、ここを他の箇所で壊した土壁の土に水と藁を混ぜて土壁の土を作り、この隙間を埋めて表面を整えます。

なお、真ん中の柱より右側の壁にもともと塗られていた漆喰は剥がし、左側はそのままにしています。

漆喰を一度剥がしてから土壁に直接新しい漆喰を塗るべきか、または古い漆喰の上に新たな漆喰を重ね塗りできるのか、またどちらの方が塗りやすく完成したときに綺麗に仕上がるかの実験でもあります。

とりあえず土壁を足して凹みは埋めることができました。


ここは数日間放置して乾燥させ、その間に他の壁の漆喰塗りを始めて行きます。

南側の和室との境壁の上の漆喰塗りを始めました。


上側の大きな壁は今回天井を作る時に新たに作った石膏ボードの壁、その下は既存の土壁に古漆喰が塗られた上から新たな漆喰を塗っています。

古漆喰の上から直接漆喰を塗ると、表面がすでに平滑に仕上げられているのでとても塗りやすく、平らに仕上げやすいことが分かりました。


この壁は過去一番の出来に仕上げることが出来ました!

上の石膏ボード壁面は面積も大きいうえ、位置も高いので梯子を使って漆喰塗りをしましたが、結構大変でした。。が、こちらもなんとか完成!


真っ白の壁と煤で黒くなった梁や柱が対照的で、空間が締まって見えます。

新しい杉板天井とも相性が良いです。

そのまま次は東側の採光障子の上の先日作ったボード壁を塗ります。


上段の土壁は位置が高く、土壁が荒壁の状態で終わっていて表面がボコボコしているのでどうすべきかもうしばらく考えてから作業に入ろうと思います。

西側のトイレ前廊下との境のドアと壁も塗りました。


ここは左側はボード、右側は土壁漆喰壁で、上部1/5ほどは元の天井ラインより上で漆喰が塗られていなくて若干土壁が薄かったので、ここにも土壁材を塗って下部と高さを合わせてから全体を漆喰しなおしました。

続いて北側の床の間を塗ります。


向かって右側の壁は状態が良かったのでそのまま上塗りしました。

左側の土壁は若干のダメージがあるので、まずはそこの補修から。


壁と天井の間に若干の隙間ができていたので、まずはファイバーテープで隙間を塞ぐように上から貼り付けます。

床との間にも若干の隙間と、床を剥がすときにつけてしまったダメージにもファイバーテープを貼ります。

そして上から石膏ボードパテを水で溶いて塗っていきます。



一晩置いたら乾いたので、上から漆喰を塗りました。


パテを乾かしている間に西側壁の隣、ドアの裏の土壁と、その上の天井も漆喰を塗りました。

Before

After

北側の壁の床の間の上の中段と上段も塗っていきます。


床の間のすぐ上の中段ですが、漆喰を剥がした右側は漆喰塗った後も土壁のボコボコが若干浮かんで見える状態でした。

土壁に直接漆喰を塗る時には、漆喰は土壁に水分を吸収されやすいので霧吹きで事前に十分湿らせてから塗ったのですが、それでも古漆喰の上から塗る場合よりも塗りにくかったです。

一方左側の壁は表面こそ右側よりも平滑に完成できたのですが、乾いた後にアクが浮いて黄色くなってしまいました。

なので、上からアク止め材、「アクドメール」を塗布してからもう一度漆喰を上塗りしました。


上段についてはもともとが天井裏に隠れていた部分で荒壁で仕上げが終わっていた状態だったので、特に凹凸がひどい箇所だけ土壁材で均してそのまま漆喰を上から塗ってみたところです。

位置が高いので、ご覧のように床から遠巻きに見る分にはそれなりに綺麗には見えますが、近くで見ると凹凸や細かいヒビ割れなどが見受けられたりと、いまいちベストな正解ではないように思われます。

次回でこの荒壁についてどのように対処したのかをもう少し詳しく紹介しようと思います。


今回はこの辺りで。


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